虐待防止のための指針 ゆう合同会社 ゆうケアプランセンター(居宅介護支援)
居宅介護支援事業の人員、施設及び運営に関する基準省令35条の2に基づく虐待防止のため の指針を以下のように定める。
1. 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
高齢者に対する虐待は、高齢者の尊厳を脅かす深刻な事態であり「高齢者虐待の防止、高齢者の 養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)に示すとおり、その防止に努めること は極めて重要です。当事業所では、同法の趣旨を踏まえ、また介譲保険法が掲げる「尊厳の保持 と自立支援」という目的を達成し、虐待の未然防止、早期発見・迅速かつ適切な対応等に努める とともに、虐待が発生した場合には適正に対応し再発防止策を講じます。そのための具体的な組 織体制、取組内容等について、本指針に定めるとともに、運営規定13条に明示します。 なお、高齢者虐待防止法の規定に基づき、当事業所では「高齢者虐待の定義」を囲み 1 のような行 為として整理します。また、介護保険法にも人格尊重義務がうたわれていることや、当施設のサービス内容及び社会的意義に鑑み、当施設職員による虐待に加えて、高齢者虐待防止法が示す養 護者による虐待及び、セルフ・ネグレクト等の権利擁護を要する状況、ならびに虐待に至る以前 の対策が必要な状況についても、「虐待等」として本指針に基づく取り組みの対象とします。
虐待の定義
(1)身体的虐待 暴力的行為等で利用者の身体に外傷や痛みを与える又はそのおそれのある行為を加えること。また、正当な理由なく身体を拘束すること。
(2)介護・世話の放棄・放任(ネグレクト) 意図的であるか、結果的であるかを問わず、行うべきサービスの提供を放棄又は放任し、利 用者の生活環境や身体・精神状態を悪化させること。
(3)心理的虐待 脅しや侮辱等の言葉や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等により利用者に精神的、情緒的苦痛 を与えること。
(4)性的虐待 利用者にわいせつな行為・性的接触・性的嫌がらせをすること。又は利用者にわいせつな行為 をさせること。
(5)経済的虐待 利用者の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限する こと。
2.虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
(1)虐待防止検討委員会の設置 居宅介護支援事業の人員、設備及び運営に関する基準省令35条の2に基づき、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策、を検討することを目的とした委員会を設置します。
(2)委員会の組織 委員会の構成員は、管理者・介護支援専門員とします。また、外部有識者として社会保険労務士、社会福祉士等の専門職を構成員とし、必要に応じて委員を任命することとします。これらの外部有識者を積極的に採用するように努めますが、主として地域包括支援センターや寝屋川市地域包括ケア推進課に相談・助言を求めます。
委員会の責任者として委員長を置き、これを事業所の管理者・介護支援専門員(兼務)が務め、各構成員の役割は下表のとおりとします。
【構成員ごとの役割】
構成員
管理者および委員長 : 介護支援専門員
役割 ・虐待の防止に関する措置を適切に実施するための責任者
・虐待防止対策の周知・進捗管理
・利用者・家族等への説明・相談対応
外部有識者
(地域包括支援センター・寝屋川市高齢介護室
(社会保険労務士・社会福祉士等) 第三者かつ専門家の観点からの助言
(3)委員会の開催
委員会は、委員長の招集により年間計画に基づき、年2回、法人内の各事業所の虐待防止検討委員会と共催します。 重大な虐待事例が発生した場合は、24 時間以内に臨時委員会を開催し、対象者の安全確保、 改善に向けた対応方法等を検討します。 委員会は、集合形式を原則とするが、必要に応じてオンライン等を活用して行います。その際、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守します。
(4)委員会における検討事項(所掌事項)
委員会では、以下の項自について検討を行うとともに、必要な取組事項を決定します。
① 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
② 虐待の防止のための指針の整備・見直しに関すること
③ 虐待の防止のための職員研修の内容及び企画・運営に関すること
④ 虐待等について、職員が相談・報告できる体制整備に関すること
⑤ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に、寝屋川市への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
⑥ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
⑦ 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
⑧ 虐待事例が発生した場合は、委員会で事例検討を行うこと
(5)結果の周知徹底
委員会での検討内容及び結果、決定事項等については議事録その他の資料を作成し、職員に回覧するなどして周知徹底を図ります。
〈委員会で検討すべき具体例〉
◉早期通報(通報先は地域包括支援センターまたは市役所)が行われたかどうかの確認
◉事例検討
〇家庭内の虐待(養護者による虐待)の事例検討
〇養護者以外による経済的虐待の事例検討
〇虐待に至らないグレーゾーンの事例検討 虐待かどうかわからないが虐待が推測される事例検討
〇現在進行中のすべての事例を、繰り返し、定期の委員会に議題として提出する 終了した事例に関しても、今後の虐待防止に資すると判断される場合は議題とする
◉事業所の事例対応の適切さに対する評価と助言
◉事業所の高齢者虐待防止のための指針及びマニュアル等の作成・改定
◉研修会の開催(市や地域包括支援センター等が行う研修会への参加で代用可)
研修を事業所職員全員が受けられるよう配慮する。 (市や地域包括支援センター等が行う研修会のアーカイブ等の視聴で代用可)。
◉ヒヤリハット報告書の記載内容の分析と対策の検討
3. 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
経験が豊富で技能が高い職員ほど、虐待事例・困難事例に適切に対応できます。それゆえ、全職員の介護技能の研鑽が重要となります。一方で、優れた職員であっても、利用者に対して虐待を行う可能性があり、経験者でも内省が必要となります。これらのことから、高い介護技術の獲得と内省する機会として全職員を対象とした研修会を実施します。
(1)定期開催
全職員に対し、年1回以上の研修会を実施します。なお、寝屋川市及び高齢者虐待防止の発行するマニュアルを活用します。府や市、地域包括支援センターが行う「高齢者虐待」や「権利擁護」に関する研修会への出席をもって、定期開催の研修会の参加とすることもできます。 定期開催の研修会に参加していない、参加できない職員には、大阪府、寝屋川市の高齢者虐待防止ネットワークのホームページの視聴をもって、研修会に参加したものとします。
(2)新規採用時 職員の新規採用時には、新人職員研修カリキュラム内に定め、虐待等の防止を図るための研修を行う。
(3)外部研修会へ参加 府や市、地域包括支援センターが行う「高齢者虐待」や「権利擁護」に関する研修会に職員が参加できるよう、業務の調整等を行います。
(4)研修内容
研修内容は以下のものを基本とする。
①自身の介護状況の振り返り
②虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識
③本指針及び「寝屋川市高齢者虐待防止対応マニュアル」の内容に基づく取組み
④虐待通報義務の履行、ならびに虐待等に関する相談・報告の方法
(5)研修記録
研修の実施回ごとに、研修実施記録を作成し、使用した資料とともに、記録薄ファイルに綴り、保管・管理します。
(6)研修内容の周知徹底
研修内容の周知徹底をはかるために、研修の開催日・時間帯等について委員会で検討し、参加 率向上に努めます。欠席者に対してはその結果も研修記録に含めます。
4.虐待(虐待の疑い)等を発見した場合の対応方法に関する基本方針
(1)市町村等への通報
虐待を疑う場面に立ち会ったり、虐待と認められる行為等を発見した場合、通報義務が発生します(高齢者虐待防止法第7条第2項)。したがって、虐待が疑われる、もしくは、虐待を発見 した場合は、速やかに下記へ通報してください。その後、委員会の構成員もしくは、管理職に 報告をお願いします。但し、委員会の構成員や管理職への報告は強制するものではありませ ん。 なお、被虐待者の心身に深刻な影響や後遺症を生じる可能性の高い虐待事例に遭遇した際 は、即時、警察あるいは救急車を要請してください。 また、通報者の秘密は守られます(高齢者虐待防止法 第8条、第23条)。 通報した際に、氏名等を名乗らないことも可能です。
・通報先 寝屋川市高齢介護室 電話 072-812-2560 FAX 072-812-2560
・目前で暴力が行われているとき 110番へ
・医療がすぐに必要な病気やけががあるとき 119番へ
(2)利用者からの報告及び対応 虐待の被害を受けたと思われる高齢者・利用者を発見した場合には、速やかに委員会の構成員に報告します。この際、報告の 方法・様式及び報告する委員会構成員は問わず、匿名でも行えることとし、報告を受けた構成員は、 インシデント報告様式を使用してその記録を作成し、委員会委員長に報告します。
①当該利用者の心身状況の確認・安全確保
②寝屋川市への通報の有無の確認及び必要と思われる場合の通報
③法人本部、家族等への報告(第一報)
④関係職員への事実確認、関係職員の勤務状況等の確認
⑤委員会の臨時開催及び原因分析、事後対応・再発防止策の検討及び対策の決定
⑥事後対応及び再発防止策の周知・実行
⑦関係者への報告(第二報以降適時)
⑧必要に応じた懲罰委員会への報告
⑨委員会における事後対応及び再発防止策の実行状況の確認・評価
⑩虐待事例の事例検討会の実施
(3)大阪府及び寝屋川市が実施する高齢者虐待等に係る調査協力
大阪府及び寝屋川市から、高齢者虐待等に係る調査協力依頼等があった場合には、速やかに協力します。
5.虐待(虐待の疑い)等を発見した場合の相談・報告体制に関する事項
(1)虐待が疑われる事例を発見した場合の報告体制 虐待等が発生した場合の相談・報告の体制は、本指針4の(1)、(2)、(3)に準じます。 なお、虐待かもしれない感じた事例を経験した時、虐待してしまったかもしれないと感じたと きには、委員会に「虐待ヒヤリハット報告」をする必要があります。
(2)事故報告、ヒヤリハット報告の報告体制 事故報告ヒヤリハットは管理者に報告します。
(3)虐待が疑われるような、事故・ヒヤリハットの取り扱い 事故報告ヒヤリハット報告委員会は、自己報告及びヒヤリハット報告に虐待が疑われる事例 が含まれていないかを確認をします。虐待が疑われるような事例を発見した場合は、本指針4の (1)、(2)、(3) に準じます。
6.成年後見制度の利用支援に関する事項
虐待等の防止の観点を含めて、成年後見制度や、その他の権利擁護事業について、利用者や家族 等へ説明を行うとともに、地域包括支援センター、寝屋川市成年後見相談室を適宜紹介します。
7.虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
虐待等に係る苦情は、当施設において包括的に設置する苦情対応窓口において 受け付けます。苦情対応窓口及び虐待対応については、重要事項説明書に示します。 受付担当者は苦情等の内容を精査し、虐待等に関係する内容が含まれている 場合には、苦情対応責任者を通じて、委員会に報告します。
8.利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項 本指針は、利用者・家族、後見人、当施設に来所した方及び当施設の職員並びにその他の関係 者がいつでも閲覧できるよう、事業所に保管しています。
9.その他虐待の防止の推進のために必要な事項
(1)虐待防止担当職員の配置
虐待の防止に関する措置を適切に実施するための虐待防止担当者を配置します。担当職員 は、委員会委員の職員とします。
(2)他機関との連携
府、寝屋川市、寝屋川社会福祉協議会等、他事業者との連携の機会及び同団 体その他の機関が開催する研修会や情報交換等をする場には積極的に参加し、利用者の権利擁護に関わる研鑽を常に図ります。
10.本指針の改廃
本指針の改廃の要否及び改定する場合の改定作業は、委員会により実施する。
11.附則 この指針は、令和6年3月1日より施行する